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長期脱炭素電源オークションとは? 蓄電池の参加ルールと落札結果

長期脱炭素電源オークションの仕組み、蓄電池に関するルール、そして第1回から第3回までの結果をわかりやすく整理します。

この記事のポイント

  • 長期脱炭素電源オークションで落札した案件は、原則20年間、固定費水準の容量収入を得られます。その代わり、他の市場で得た収益の約9割を還付します。
  • 公表された結果によると、蓄電池の落札量は第1回が約1,092MW、第2回が約1,370MW、第3回が約1,251MWでした。
  • 第3回(2026年1月応札)から、蓄電池は6時間以上運転できることが条件になり、蓄電池などの募集上限は2つの区分でそれぞれ400MWに引き下げられました。
  • ルールは回ごとに変わっているため、応札を考える場合は最新の募集要綱を必ず確認する必要があります。

長期脱炭素電源オークションとは

長期脱炭素電源オークションは、系統用蓄電池を含む脱炭素電源への新規投資を後押しする、日本のオークション制度です。落札した案件は長期にわたって安定した容量収入を得られるため、長期の収入の見通しを立てやすくなります。

資源エネルギー庁が2023年度に制度を設け、最初の応札は2024年1月に行われました。オークションの運営と結果の公表は、電力広域的運営推進機関(OCCTO)が担っています。

OCCTOは、この制度を容量市場の一部と位置づけています。容量市場は、電気の量(kWh)ではなく、将来の供給力(kW)に対して対価を支払う仕組みです。系統用蓄電池の基本については、系統用蓄電池の基礎知識で解説しています。

オークションの仕組み

応札者は自らの供給力に価格をつけて入札し、募集量に達するまで安い順に落札が決まります。落札した案件は、自らの入札価格で、原則20年間の容量収入を受け取ります。

OCCTOはこれを「マルチプライス方式」と呼んでいます。落札した案件ごとに、それぞれの入札価格が支払われるためです。20年を超える期間を希望することもできます。

収益の約9割を還付するルール

落札した案件も、卸電力市場や需給調整市場など、他の市場で電気やサービスを販売できます。ただし、それらの市場で得た収益の約9割を、後から還付しなければなりません。OCCTOによると、還付率は他市場での利益の大きさに応じて3段階あります。

容量収入は、建設費や維持費などの固定費を回収するためのものです。他市場での収益の大部分は、この還付によって戻されます。

参加できる電源

太陽光、風力、蓄電池など、脱炭素電源の新設やリプレースが対象です。固定価格買取制度(FIT)やフィード・イン・プレミアム制度(FIP)の支援をすでに受けている案件は対象外です。脱炭素化の措置を講じない石炭・LNG・石油火力も対象外ですが、脱炭素化を条件とするLNG火力の区分が別に設けられています。

蓄電池の落札結果

蓄電池は、第1回から第3回まで、いずれの回でも1GWを超える落札となっています。一方で、参加の希望は募集量を大きく上回っており、落札できなかった蓄電池も多くあります。

回(応札時期)脱炭素電源の募集量蓄電池などの募集上限蓄電池の落札量
第1回(2024年1月)4,000MW蓄電池・揚水発電で1,000MW約1,092MW
第2回(2025年1月)5,000MW3時間以上6時間未満で750MW、6時間以上で750MW約961MW(3〜6時間)と409MW(6時間以上)、合計約1,370MW
第3回(2026年1月)5,000MW2つの区分でそれぞれ400MW(6時間以上のみ)約1,251MW

第1回では、蓄電池の応札が約4,559MWあり、そのうち約1,092MWが落札しました。第2回について資源エネルギー庁は、蓄電池と揚水発電をあわせた応札が約7,800MWに達し、上限の1,500MWの5倍を超えたと報告しています。

落札量が上限を超えることもあります。脱炭素電源全体の落札量が募集量に届かなかった場合、ルール上、蓄電池などを追加で落札させることができるためです。第2回では、750MWの上限に対して、3〜6時間の蓄電池が約961MW落札しました。第3回についてOCCTOは、蓄電池は放電の前に充電が必要であることから、上限を超えて落札させる場合も上限の2倍までとしています。

第3回で、蓄電池について何が変わったか

第3回では、蓄電池に関して大きな変更が3つありました。6時間以上運転できる案件に限られたこと、募集上限が引き下げられたこと、そして特定の国で製造された電池セルの割合に上限が設けられたことです。

  • 運転時間:1日に1回以上、6時間以上連続して運転でき、年間の平均でも6時間以上であることが条件です。資源エネルギー庁は、3〜6時間の案件の中には、この制度の支援を受けずに建設が進んでいるものもあると指摘しています。
  • 400MWの2つの区分:1つはリチウムイオン電池と揚水発電のリプレース、もう1つはそれ以外の電池、揚水発電の新設、長期間のエネルギー貯蔵(LDES)が対象です。
  • 電池セルの製造国:海外で製造されたセルについて、特定の1か国に関わる落札量は、リチウムイオン電池の落札量全体の30%未満にとどめる必要があります。ほかの種類の電池にも同じルールが適用されます。
  • その他:揚水発電のグリッドコードに準じた制御機能を備えること、またIoT製品のセキュリティ要件適合評価及びラベリング制度「JC-STAR」の★1(レベル1)を取得していることが求められます。

土地所有者・パートナー・投資家が注目すべきこと

注目すべきは、毎回の制度設計です。これまで、募集上限、運転時間の条件、対象となる技術は回ごとに変わってきました。資源エネルギー庁は2025年5月、落札した蓄電池の案件が計画を取りやめていないかを引き続き確認するとしています。

運転時間が長くなると、出力1MWあたりに必要な蓄電池の容量(MWh)が増え、必要な土地の広さにも影響します。当社は系統連系や長期脱炭素電源オークションの応募を支援しています。土地をお持ちの方は土地について、パートナー企業の方は協業についてお気軽にご相談ください。

よくあるご質問

Q落札すれば、蓄電池は必ず建設されるのですか?

落札だけでは決まりません。落札後も、系統連系、許認可、建設を終える必要があります。資源エネルギー庁は、落札した蓄電池の案件の取りやめ状況を引き続き確認し、必要に応じてペナルティの強化も検討するとしています。

Q落札した蓄電池は、他の市場でも収益を得られますか?

卸電力市場や需給調整市場など、他の市場でも販売できます。ただし、それらの市場で得た収益の約9割は、還付のルールによって戻すことになります。

Q第3回で6時間以上が条件になったのはなぜですか?

資源エネルギー庁は、3〜6時間の案件の中には制度の支援なしで建設が進んでいるものがあると説明しています。また、再エネと出力制御が増えるにつれて、長時間の蓄電の必要性が高まっているとしています。

Q公式の落札結果はどこで確認できますか?

OCCTOが、容量市場のページで募集要綱と約定結果を公表しています。各回の振り返りや次回の制度設計は、経済産業省のウェブサイトに掲載されている資源エネルギー庁の審議会資料で確認できます。

出典

  1. 資源エネルギー庁「系統用蓄電池の現状と課題」資料5(2024年5月29日)
  2. 資源エネルギー庁「長期脱炭素電源オークション」資料3-3(2025年5月28日)
  3. 電力広域的運営推進機関「長期脱炭素電源オークションの制度詳細について(応札年度:2025年度)」説明資料(2025年9月)
  4. 電力広域的運営推進機関「容量市場 長期脱炭素電源オークション約定結果(応札年度:2025年度)」(2026年5月13日)
  5. 電力広域的運営推進機関「長期脱炭素電源オークション約定結果(応札年度:2025年度)別紙:落札電源一覧」(2026年5月13日)

執筆:株式会社Green Battery 編集部(東京)。本記事は市場や技術の一般的な解説であり、投資・法務・税務に関する助言ではありません。個別のプロジェクトについてはお問い合わせください。

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